

スクリュー杭の打設で、施工現場の地盤が硬い場合、なかなか打設することができなかったり、せっかくのスクリュー杭基礎が破損してしまうことがあります。当社は、ボーリングマシンを活用した硬い地盤へのスクリュー杭打設を得意としております。
硬い地盤へのスクリュー杭打設
硬い地盤への無理矢理なスクリュー杭打設は禁物です!
スクリュー杭打ちを行う現場の地盤が硬いと施工が困難になることがあります。地中に石などの障害物や岩盤があるとスクリュー杭が打ち込めずに、ひどい時にはスクリュー杭が変形や破損してしまうことになります。
だからといって、スクリュー杭工法が全くもって不可能というわけでもありません。現場となる土地の状態によっては、対応できたり難しかったり様々なケースがあります。スクリュー杭を打ち込む前に、現地調査で引抜き試験等の強度試験を実施する事により、硬い地盤の現場にも対処できる適切な施工方法を提案、行うことが可能になります。
∗場合によってはスクリュー杭打設による工法をすすめられない現場もありますが、代替案などの対応策も検討させていただきます。
強度試験について詳しくはこちらをご覧ください↓
絶対にやってはいけない無理やりな打設のやり方3つ
地盤が硬い現場では掘削とスクリュー杭打設にかなりの時間と労力を強いられることになります。一般的なユンボの場合、N値(地盤の強度を表す数値)が10以上になれば、打設困難です。硬い地盤でスクリュー杭が打設できず、仕方なくコンクリート基礎に変更すると大幅に金額が上がってしまいます。それに加え、スクリュー杭が在庫として余る事にも繋がります。
スクリュー杭さえちゃんと打設できれば、施工の目処もだいたい立ってきますが、最もやってはいけないことは、無理矢理にでも打設してしまうことです。スクリュー杭打設で実際にありがちな無理矢理な打設のやり方について3つご紹介します。
- ➀スクリュー杭の長さが明らかに現場に見合っていないものを使用している
- ➁地中障害によって杭がずれた、または斜めに傾いてしまったのにそのまま無理矢理に打設してしまう
- ➂硬くてよく締まった地盤へ、無理矢理にスクリュー杭を回転させていれてしまい、スクリュー杭の羽が飛んでしまう。
①~③について詳しく紹介しますと、
スクリュー杭の長さが明らかに現場に見合っていないものを使用している
ねじ部分が見えたまま打設されたスクリュー杭
高低差を把握できていない場合や、造成などで現地の状況が変化した場合によく発生するケースです。杭のねじ部分が見えてしまうことや、必要以上に根入れしてしまっていることも少なくありません。根入れが足りていないのは単なる設計ミスですが、「不安だし、なんとなく長めの杭を使っておく。」などのご要望もお客様からよく耳にします。しかし、硬い地盤で必要以上に根入れするにはかえって逆効果です。と言うのも、スクリュー杭の羽が飛んでしまい、単管状態になってしまい、強度が取れなくなる可能性があるからです。
地中障害によって杭がずれた、または斜めに傾いてしまったのにそのまま無理矢理に打設してしまう
杭打ちで、地中障害にあたることがありますが、その際の対応によって後々の工程に大きな影響を及ぼします。打設さえすればいいというものではありません。杭がずれていたり、斜めになっていたりすると、設置する架台の足がしっかりと取り付けできずにずれたり、架台が傾いてしまいます。
硬くてよく締まった地盤へ、無理矢理にスクリュー杭を回転させて入れてしまう


無理矢理な打設によってねじ切れたり羽が曲がり破損したスクリュー杭
よく締まった地盤では、杭が地盤にかんでしまい、途中で回転しなくなることがあります。それを無理に入れようとすると、杭のねじ切れなどが起こってしまいます。
最悪なのは、杭を無理矢理入れて、地中の中でスクリュー杭の羽がすべて取れてしまっている状態のまま施工が終了してしまうことです。土の中までは確認できませんので、本当に支持力を保持できているのかは、強風などで架台が吹き飛ばされた後にしかわかりません。
硬い地盤には先行掘削が有効!
上記のように「無理矢理に不適切なかたちで杭を打設してしまい、架台を載せる際に余計な時間と手間がかかって、結局また杭を打ち直した、又は地中障害をユンボ等で取り除いてから打設したので、費用も余計に重なってしまった。」などの声もよく耳にします。このような問題を避ける為には、硬い地盤へのスクリュー杭打ちにはボーリングマシーンによる先行掘削が有効です。
先行掘削とは、スクリュー杭打設前に、先行して孔を掘り、スクリュー杭が打設できるようにする工程です。

スクリュー杭の羽がしっかりと効くぐらいの径で先行掘削した後、穴にスクリュー杭を打設していきます。
元々硬い地盤では地盤が締まっているので、先行掘削を指定の掘削深度の少し手前で止めれば、引き抜き強度も十分確保できますし、ピンポイントで先行掘りをしますので、杭打ちの精度もしっかりと確保することができて、スクリュー杭を追加発注する必要もなくなり費用が軽減できます。
ユンボの場合だと、周辺の地盤を含め、掘削してスクリュー杭を埋めるような作業になるかと思います。ただ、この場合、地盤が逆に緩くなってしまうため、凝固剤などを入れないと強度が保てなくなってしまいます。
φ86mmの直径で先行掘りをして、スクリュー杭の打設
当社では、岩盤の場合にφ86mmの直径で先行掘りをして、スクリュー杭の打設をしております。
この、φ86mmというのが絶妙な値で、例えば直径が100mmのもので先行掘りをしていきますと、スクリュー杭を打ち込んでも隙間ができてしまい、セメントで補強するなどしないと支持が得られません。スクリュー杭の胴体部分が76mm、 羽部分が両端に10mmずつで計96mmとなりますので、Φ86mmで掘削すると両端5mmずつ羽が硬い地盤に食い込み、杭と地盤がうまく締まった状態で支持の強度を得ることができます。
先行掘削の作業工程と機材紹介
作業工程
① 位置出し→②先行掘削→③スクリュー杭打設
先行掘削の機械紹介
現在、当社では先行掘削を3種類の重機で実施しております。
1.ジオプローブ
ジオプローブの打撃で先行掘削をして、スクリュー杭を打設します。
ジオプローブ 固い地盤への先行掘り
ジオプローブは打撃による先行掘削が可能で、最大傾斜角20度くらいまでの現場で施工可能です(※現場の地盤の状態にもよります)。
2.エコプローブ
ジオプローブで打設できない場合があります。そのような時は、もう1つのボーリングマシーンのエコプローブという機械を使って先行掘削を行い、その後にスクリュー杭を打設していきます。
動画:エコケーシング先行掘り
このエコプローブという機械ですが、オーガー(回転)+バイブレーション(振動)で掘削していきます。機械本体とケーシング(掘削時に穴に一緒にさし込んで、穴内部の土壁が崩れないように保護するパイプ状のもの)が一体であり、正確にまっすぐ掘削します。なので、かなり固い地盤などでも対応して打設することが可能です。
3.ダウンザーホールハンマー
ダウンザーホールハンマーは、ツールの先端からエアー(空気)を送り出し、上下と回転をして打撃を与え、粉砕した岩盤などを吹き飛ばして掘削していきます。スクリュー杭が打設できない箇所でも、早ければ30秒、長くても15分程度で概ね掘削してしまいます。掘っている径も、色々と選択できます。スクリュー杭がしっかりと地中に食い込むように、杭の直径より一回り小さい径をおすすめしております。


動画:ダウンザホールハンマー 掘削作業

コンプレッサーからホースで空気を送りながら掘削していきます。
ダウンザーホールハンマー(ユンボ)の強みは、初めに、ブームがあることで、平地からの傾斜地の先行掘削が可能です。もちろん、ブームが届く範囲までにはなりますが、②のエコプローブより、傾斜地に対応が可能です。ユンボが登れる15度程度まで掘削可能です。 欠点としては、粉塵が周囲に飛散することです。民家が近い場合や風が強い場合は、作業員以外にも周りの環境にも考慮する必要があります。
硬い地盤でのスクリュー杭打設のボーリングマシーン
使用事例
事例1:ブルドーザーのリッパーで削らないといけない硬さ
地盤が非常に硬いため、スクリュー杭の打設が困難ではないか?と言われた案件がございました。その地盤の硬さですが、ブルドーザーのリッパーで削らないといけない硬さでした。ちなみにリッパーとはブルドーザーの後部に付いているカギ爪状の部分です。
その現場では、エコプローブで直径86mmのケーシングを用いて、先行掘削を行い、その掘削穴にスクリュー杭を打設していくことができました。1ヶ所あたり所定深度まで10分くらいかかりましたが、指定深度までいけば当然ケーシングの中に土が入りますので、掘削穴から取り出した時に、次の掘削ポイントの為に土を取り出します。この時、バイブレーション機能が非常に役に立ちます。
エコプローブは、当社がボーリング作業もやっているので、協力会社を含めノウハウがあるという点と、機材が揃えられることが大きな利点です。こちらの現場では、通常ならば直径100mm程度の穴をアイオンなどで空け、スクリュー杭を中に入れて、その後にセメントミルクを入れるという工程を組むと思われます。これらは工程にかかる時間的にも、費用負担的にも大変になります。
事例2:N値が30以上の現場
「N値が30以上の現場で、コンクリート基礎にすると費用が上がってしまうので、太陽光発電そのものを断念しようかと悩んでいる」という問い合わせ相談がありました。いただいたSS試験結果によると、確かに表層から高いN値の数値がでていました。
しかしながら、念のため確認しておきたいこともあり、実際に試験をしてみることになりました。エコプローブで掘削すると、表層から50cmくらいで、硬い地盤の層を貫くことができました。アタッチメントを切り替えて、実際にスクリュー杭を打設してみると、問題なく打設できました。問い合わせいただいたお客様からも大変喜ばれました。その後の引抜き試験も満足のいく数値結果がでて、スクリュー杭打設を実施することができました。
よく、先に穴を掘ったら杭打ちした時に緩くなるかもしれないと思われる方もいるかもしれませんが、ケーシングの径も66mm~250mmなど、種類もあります。その現場にあった、ケーシングの経を選択して、スクリュー杭でも支持が得られるようにすれば、経費も大幅に削減できるのです。ちなみに、この現場で使用したスクリュー杭の径は、76mmで、ケーシングの径は、86mmです。
事例3:地中の硬い基礎への杭打設事例
ボーリングマシンを用いたスクリュー杭打設ではないのですが、次のような打設場所が硬い現場でのスクリュー杭打設がありました。スクリュー杭が打設できず、その補修に赴いたのですが、元々マンションがあった場所らしく、地中にコンクリート基礎がしっかりありました。さすがにこれでは打設できません。
ですので、アンカーを打ち、フランジを取付け、鋼管をレベルの高さに切って、再び上にフランジを取り付けました。するとスクリュー杭をしっかリ取り付けることができました。地中には、色々な障害物がありますので、その障害物、そして現場に合わせた施工対応を行うように努めています。
先行掘削の実績紹介
当社では2017年から先行掘削を行っており、2021年の12月現在で、先行掘削の本数が累計93,700本を突破いたしました。
累計
2017年:526本
2018年:10,510本
2019年:18,754本
2020年:62,790本
2021年:1,190本
合計:93,770本
都道府県別
1位:岡山県 (71,312本)
2位:和歌山県 (8,042本)
3位:福島県 (4,211本)
4位:長崎県 (3,340本)
5位:三重県 (1,672本)
(2021年12月現在)
西日本と福島県が多いのが分かります。

今後も色々な条件での施工があると思いますが、その土地や場所に応じた機材や施工方法を考え、臨機応変に対応させて頂きます!地盤が硬くて困っている時は、是非弊社までお問い合わせください。全国対応いたします!

*業務時間外は、直接担当者に繋がります。